事業承継の支援

事業承継は中小企業においては非常に重要な問題となります。しかし、事業存続において、いつ、だれを後継者にするのか非常に難しい判断を行う必要があります。当事務所においては、事業承継にまつわる多くの事項について決定していくことの支援や、後継者の育成まで一連の対応を行います。ぜひご相談をください。

中小企業の現状

中小企業の社数は年々減り続けております。

中小企業庁の調査では、2014年は約381万者、2016年は約358万者、2021年は337万者と7年間で90%弱となっております。コロナ禍によりさらに減少をしていく見込みです。

資金繰りの悪化などで倒産する企業も2014年からおよそ7,000件の倒産件数で推移しております。

資産>負債の資産超過の状況で経営者都合で行う休廃業・解散件数は50,000程度で推移しております。

2020年初めに日本で流行した新型コロナウイルス感染症により、中小企業は大きな打撃を受けております。新型コロナウイルス関連の破たんは2023年2月時点で5,300件となっており、それからも増加している状況です。飲食業、建設業、食品・卸売業、ホテル、旅館など様々な業種で影響を受けております。

また、労働力不足も顕著となっております。中小企業においては人手不足の状況が常態化しております。従業員の時間外労働に関する上限規制適用への対応も行う必要があり、運送業、建設業などでますます人不足の状況です。

新規採用についても大手企業でも採用が難しくなっている中、中小企業においてはさらに採用が難しい状況となります。新卒採用、中途採用、正社員、契約社員、パート社員、アルバイト、外国人労働者など多様な採用方法や人材などで補充をしていくことになります。

待遇改善においては給与水準の引き上げ、長時間労働の是正、再雇用はシニア人材の活用、福利厚生の充実など様々な対策をおこなうことが求められております。

事業承継とは

事業承継とは現経営者が事業を後継者に会社を譲ることになります。現在、経営者の平均年齢は60歳を超えており、多くの企業で事業継続を行うために後継者へのバトンタッチが必要となっております。70歳以上の経営者は全体の40%が休廃業をしている状況です。また、半分以上の企業が黒字にも関わらず休廃業となっております。

また、後継者不在の企業は約60%となっており、早めに事業承継を考えて行動をすることが必要になってきております。

当事務所では現経営者と寄り添い、事業承継を行うために支援をさせていただきます。

事業承継の考え方、手順など以下に紹介をします。

親族内承継

中小企業で一番多いのが現経営者の子供や親族で事業承継を行う方法です。年々減少しておりますが、6割程度の企業が親族内の事業承継となっております。

メリットとしては、①社内外の関係者の理解を得やすい、②後継者を早期に決定することで、長期的なプランで育成をしやすい、③相続により経営と資本の一体化が行えるなどがあげられます。

デメリットとしては、①後継者以外の親族の協力を得られない場合もある、②子供が継ぎたくないなど後継者にならない状況もある、③後継者に能力がなく、倒産・破綻の可能性もあるといことがあげられます。

従業員承継

役員、従業員を後継者として事業承継させる方法となります。長年、現経営者と仕事を行ってきたことにより、経営の考え方や方針を熟知しているため、能力を見極めて適任者となることが可能です。

メリットとしては、①経営方針を認識しているため継続した経営が可能、②能力がある人物を後継者とすることができます。

デメリットとしては、①現経営者の親族の了承を得る必要がある、②資本と経営が分離する可能性がある、③株式の譲渡などに多額の資金が必要になる場合があるなどがあげられます。

M&A

親族や役員、従業員ではなく、第3者に引き継ぐことが増加をしております。銀行・証券会社や仲介専門の業者、投資ファンドなどがあげられます。今までは大手企業が中心となっておりましたが、支援方式の多様化で中小企業でも増えてきております。

メリットとしては、①親族・社内に適任者がいない場合でも事業継続ができる、②現経営者には株式譲渡益が得られる、③譲渡先の経営資源が活用できるなどがあげられます。

デメリットとしては、①売却できる魅力ある企業であることが必要、②売却まで時間がかかる場合もある、③今までと同様の経営が行われるか判断が難しいなどがあげられます。

事業承継の支援組織、専門家

支援企業としては、以下のような組織が考えられます。

・銀行、証券会社などの取引先

・公的 事業承継・引継ぎ支援センター

・民間 M&A仲介会社

・民間 M&A仲介サイト

公的な機関として、経済産業省 中小企業庁が管轄をしている「事業承継・引継ぎ支援センター」があげられます。こちらは国が設置する公的相談窓口となり、各都道府県に設置されております。当事務所が対応している地域の事業承継・引継ぎ支援センターは以下の住所に設置されております。

東京都 東京都千代田区丸の内3-2-2 丸の内二重橋ビル6F

千葉県 千葉県千葉市中央区中央2-5-1 千葉中央ツインビル2号館12階

相談を行う専門家としては、中小企業診断士、弁護士、税理士、金融機関、商工会議所などのメンバーが支援を行います。

 

事業承継の進め方

現経営者の方では事業が忙しく、事業承継までなかなか準備をするのが難しい場合もあるかと思います。来るべき時に備えて、少しずづでも準備をするのが良いと考えます。基本的な進め方は以下の流れ手となります。

1.事業承継に向けた準備を行う

事業承継を行うために、経営状態や経営課題を認識して、後継者に円滑に承継できるように計画を作成します。想定する後継者とともに実行に向けた準備を行うとともに、専門家、金融機関などでへ相談を行います。

2.経営状況・課題を認識して対応する

経営状況を認識し、財務面や営業面の強み、弱みを把握します。事業承継に向けて本業を強化し、財務面の不安定要素を小さくするなど、後継者が安心をして承継できる状況に改善をしていきます。業績悪化が進んでいるようであれば、まずは改善を考えるとともに、債務整理等の必要があれば、専門家に相談をすることになります。

3.事業承継計画を策定

親族内、従業員承継の場合は、いつ、だれに、どのように承継を進めていくのか具体的な事業承継計画を作成します。後継者とともに作成を行い、様々な関係者から協力を得られるように情報を共有なども行います。この中で現経営者の理念の継続や今後の経営方針なども理解を深めていくことになります。

M&Aによる事業承継を行う場合は、相手先の選定や資産の移転方法、経営権の委譲方法などを決めていきます。その中で、M&Aを依頼する機関の選定なども必要です。民間のM&A仲介会社においては、一定規模以上の事業承継しか扱わない場合もありますので、まずは公的な「事業承継・引継ぎ支援センター」が候補になると考えます。

4.事業承継の実行

親族内、従業員承継においては、株式の相続や贈与、売買などにより後継者に提供をすることが主となります。

M&Aにおいても株式の売却などを行い、経営権を渡すことになります。

その後はアドバイザーや顧問として契約をしたり、完全に関係をなくすなど状況によって様々な実行方法となります。

企業の価値評価

事業承継を行うにあたり、事業を評価する必要があります。その際には、様々な項目から現状把握を行います。

1.財務デューデリジェンス

会社の財務に関する情報を差精査することになります。貸借対照表に基づいて資産の評価を行い、簿外債務や資産負債の時価評価が正しいのか実態の財務状況を把握することが必要になります。この場合は、税理士、公認会計士など専門家による調査が適しております。

2.事業デューデリジェンス

外部環境や内部環境の分析、業界動向や競合動向など企業が置かれている様々な状況を認識し、事業の将来性などを分析することになります。営業力や技術力の把握など、安定的に成長をするのか、衰退に向かっているのか、事業を見極めることになります。この戦略においては中小企業診断士やMBA取得者などコンサルティングに強い調査が適しております。

3.法務デューデリジェンス

法律面での資料・情報を収集し、検討を行う方法になります。事業承継が可能かどうか、法的な問題はないかどうか、M&Aを行うことにより、国からの許認可が得られるのかなど、買収後に問題となるようは法的な観点から分析を行います。この分析においては弁護士、司法書士など法律の専門家が適しております。

事業承継においては、様々な支援が考えられます。まずはご相談ください。